伊達市 酒井正太さん
伊達市とあんぽ柿

「あんぽ柿」の発祥地である福島県最北に位置する伊達市は、阿武隈川の肥沃な大地と阿武隈高地の昼夜の寒暖の差により、果樹栽培が昔から盛んに行われてきた土地です。
桃やサクランボ、ぶどうの栽培している生産者が多く、冬場は干し柿(あんぽ柿)の生産が主な仕事となっています。発祥の由来は、大正時代にこの地の農家さんの1人が米国の干しブドウ技術を干し柿に転用したことがきっかけでした。
その製造技術は近隣の農家さん一帯に広がり、今では「伊達のあんぽ柿」は伊達市の名産品となっています。冬の農家さんは出稼ぎに行くのが普通でしたが、伊達市の多くの農家の収入源は、家族であんぽ柿を作り、売ることになっているそうです。
夏はぶどう、冬はあんぽ柿
伊達市梁川(やながわ)町の酒井ぶどう園では、夏にはぶどうが、冬はあんぽ柿が主な出荷品となっています。
今では有名になった「シャインマスカット」。「高尾」、「瀬戸ジャイアンツ」、「シナノスマイル」といった市場には少ない品種のぶどうも生産、出荷しています。
「いちばん美味しい時を味わってほしい!」という思いから、樹上での完熟を待ってから収穫を心がけているという酒井さん。ぶどうの一番美味しいタイミングを見極めてからの出荷を日常にしています。
酒井家は代々のりんご農家でしたが、ぶどう栽培を始めたのは今から40年以上前。父・清司さんが一念発起して山を切り拓き、今では11ヶ所にも点在する広大なぶどう園となりました。剪定から出荷まで一房一房心を込めての作業を、80歳を超える現在も2代目の正太さんと共に続けています。
11月にぶどうの出荷が終わると、片付ける間もなく、「あんぽ柿」づくりが始まります。平均で年3トンもの柿を収穫するというのだから大変です。
この地域で使われる「あんぽ柿」用の渋柿は「平核無(ひらたねなし)柿」か「蜂屋(はちや)柿」の2種類。梁川町地域で使われる柿は、比較的大ぶりで食べ応えが十分な「蜂屋柿」。「トロッとした食感がとても好き!」というお客様が多くいます。

家族で作る伊達のあんぽ柿
「あんぽ柿」は家族で協力して手際よく作業する必要があると語る酒井さん。11月に渋柿(蜂屋柿)を収穫すると、1週間の追熟期間をおきます。へた回しという柿の整形作業の後、家族総出で皮をむいていきます。10個ずつ縄通しをし、1時間以内に手早く硫黄燻蒸(いおうくんじょう)が行われます。この工程を経ることによって、柿本来の鮮やかなオレンジ色が保たれます。

「あんぽ柿づくりは、代々諸先輩方から受け継がれ、いつの間にか身に付いていました。このまま伊達市の名産品として、子どもたちの世代に引き継いでいきたいと思っています。」
家族で協力しての作業は冬場の大切な農家しごと。この地域では、「あんぽ柿」の冬仕事があるため、出稼ぎに都会へ出て行くことが比較的少ないそうです。
一番の目的は販売のためですが、正太さんは年に何度も首都圏に販売へ出かけます。理由はお客様の笑顔を直接見られること。長距離移動もいとわず、むしろお客様に元気をもらって帰って来ることは、この上ない喜びだと云います。
伊達の「あんぽ柿」を皆さまが口にしている頃、酒井家や伊達の家々でもまた、あんぽ柿のオレンジ色が家族団らんに灯りを灯しています。
伊達のあんぽ柿 3つのポイント


